この本に出会いました。
テレビであまりやらないせいか、あまりピンとこなかったメソポタミア文明。
それもそのはず、メソポタミアって今のイラクの場所で、
遺跡発掘どころではないんですね。
この本は、2000年に放送されたNHKスペシャル「四大文明」を書籍化したものだそうです。
湾岸戦争後初の本格的取材の記録と、専門の先生方による解説が載っています。
たぶん高校の世界史の時間にいろいろ習ったんだろうけど、
「チグリス・ユーフラテス」しか頭に残っていない私にとっては、
衝撃的な内容でした。
例えば、今から5000年も前に、既に「巨大な村」ではなく、第一次産業(農業など)に従事しない人たちだけが集まった「都市」があった、とか、
九九、分数、平方根、立方根、円周率にあたる定数の存在も既に知られていた、とか、
旧約聖書の「ノアの箱舟」や「バベルの塔」は、紀元前2600年頃の都市国家「ウルク」を舞台にした「ギルガメッシュ叙事詩」がベースになっている、とか、
ブリューゲルの「バベルの塔」の絵は、バビロンに建っていたジッグラトがモデルなのだとか、
挙げるとキリがないくらい色々驚きました。
バビロンのジッグラトは基層しか残っていないそうです。
中でも一番驚いたことは、シュメール時代の粘土板に書かれたいろいろな格言で、
「快楽のためには結婚、よく考えてみたら離婚」
「楽しみ、それはビール。いなこと、それは遠征」
「いつかは死ぬのだ、遣ってやろう。長くも生きたい、貯蓄しよう」
って!
ほんとかな。信じられない。
まるでサラリーマン川柳ではないですか。
現代の都会人も4000年前の都会人も感覚的なものは変わらないんでしょうか。
おもしろいですね。
他にも文字の起源と歴史や、ハンムラビ法典、アッシリアの王「シャムシ・アダド1世」のことなどが詳しく載っていました。
ただ、あまりにもいろんな地名や人名が出てきて、さっぱり頭に入りませんでした。
もう少し勉強してから読み直してみたいと思います。
この本が出版された3年後にイラク戦争が始まったことになりますが、
今現在の遺跡の状況ってどうなっているんだろう、と思って検索してみたら、
ナショナルジオグラフィックのサイトにこんなニュースが載っていました。
2008年8月12日となっているので、ちょうど4年前の記事です。
→イラク古代遺跡、略奪より放置が問題
主要な8カ所の遺跡の調査の結果、セキュリティの強化などで略奪はなくなったものの、放置によって壁の崩落などが始まっているようなことが書かれてあります。
4年後の現在もまだ平和が訪れる気配がありませんが、
早く安全に発掘作業を再開できる日が来るといいですね。
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