2014年11月16日

イギリス人女性が見た明治時代の東日本が興味深い



『イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む』という本を読みました。

明治初期に、イザベラ・バードというイギリス人女性が、
東京から北海道までを旅した記録をまとめた
「日本奥地紀行」という本があるのですが、
その本を、民族学者の宮本常一さんが解説している本です。
明治初期の東日本、北海道の様子がよくわかります。

一番驚いたのは、当時の日本はノミだらけだったということ。
 日本旅行で大きな障害になるのは、蚤の大群と乗る馬の貧弱なことだ。(第1信)

というのが出て来るのですが、これは記憶しておいて良いことだと思います。蚤は戦後アメリカにDDTをふりまいてもらって姿を消すまでは、どこにもすごくいたのです。(中略)田舎へ行くほどひどくて、座敷へ上るとパッと二、三十匹とびついて来ることが多かったのです。これが日本ではごく当り前のことだったのです。(P30)
ひぃぃ・・・
これは歴史もののドラマなどを見ているだけではわからないことですね。
この後にもイザベラさんが蚤に悩まされる記述が度々出てきます。

あと、山の中での暮らしは
今では考えられない程貧しく過酷なものだったようで、
それをオブラートに全く包まずに記述されているので、
絶望的な気分になりました。
ここはたいそう貧しいところで、みじめな家屋があり、子どもたちはとても汚く、ひどい皮膚病にかかっていた。女たちは顔色もすぐれず、酷い労働と焚火のひどい煙のために顔もゆがんで全く醜くなっていた。(P92)

外人見たさに集まってきた村人に対してはこんな感想を書いています。
群集は言いようもないほど不潔でむさくるしかった。ここに群がる子どもたちは、きびしい労働の運命をうけついで世に生まれ、親たちと同じように虫に喰われ、税金のために貧窮の生活を送るであろう。(P93)
バッサリです。

でも平地へ降りると、豊かな暮らしをしている地域もあったようです。
米沢盆地を「エデンの園」「アジアのアルカディア」と表現されています。
地域によってものすごく差があったんですね。

驚いたのは、秋田の宿屋で本物のおいしい西洋料理を食べていること。
「西洋料理」-おいしいビフテキと、すばらしいカレー、きゅうり、外国製の塩と辛子がついていた-は早速手に入れた。それを食べると「眼が生きいきと輝く」ような気持ちになった。(P154)
明治初期に、東京から離れた地域にも
ちゃんとした西洋料理が伝わっていた地域があったんですね。

ちなみに、味噌汁のことは、
『ぞっとするほどいやなもののスープ(P63)』と言っています。
味噌の匂いがダメみたいです。

他にも興味深いことが満載でした。
宮本常一さんが優しく語り掛けるように書かれているので
とても読みやすかったです。


こちらが元になった本ですね。
下巻の方は西日本の旅も含まれているようです。
関西の旅、読んでみたい!



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