本屋で見かけて衝動買いしました。
海野弘さんのこのシリーズの本は『おとぎ話の幻想挿絵』に続き、2冊めです。
美しい本の装飾や挿絵の歴史を、中世の写本の時代から、初期印刷の時代を経て現代まで辿っていけるようになっています。きれいな装飾や挿絵がぎっしりとつまっていて、それぞれに解説がついています。
本の中から、Wikimedia commonsに載っていたものを、数点お借りしてピックアップしてみました。
■『ケルズの書』 800年頃 スコットランド
まずはこの『ケルズの書』の紹介から始まります。
中世装飾写本の最初の時代の代表作の一つだそうです。
By Meister des Book of Kells [Public domain], via Wikimedia Commons
■『ベルヴィルの聖務日課書』 1323-1326年頃 フランス
ミサのための祈りの本。ジャン・ピュセル工房の作だそうです。
Jean Pucelle [Public domain], via Wikimedia Commons
■『ヴィスコンティ家のための時祷書』 1390-1428年頃 イタリア
真ん中の男女はアダムとイブ。表紙に使われている絵です。
By Unknown Miniaturist, Italian (active 1430-1465 in Milan) (Web Gallery of Art: Image Info about artwork) [Public domain], via Wikimedia Commons
*時祷書って?
中世写本の章に「時祷書」なるものがたくさん登場します。そもそも時祷書ってなに?というと、1年間の宗教的年中行事をたどっていくカレンダーなのだそうです。教会の公式的な本ではなかったため、画家たちは思い思いに描けたのだそう。誰でも楽しめる「時の本」として流行したのだそうです(P32参考)
■『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』 1410-1416年、1485-1489年 フランス
オランダのランブール兄弟作。中世装飾写本の最高峰といわれるが未完なのだそう。
Limbourg brothers [Public domain], via Wikimedia Commons
月ごとに12枚の絵があり、下の絵は6月と7月の絵です。
前回の投稿に書いた「山川 詳説世界史図録」には、“当時の生活を知る史料の役割を果たしている”と紹介されていました。
12枚とも上部にホロスコープ的な半円が描かれていて、占星術好きにはたまらない雰囲気です。
Limbourg brothers [Public domain], via Wikimedia Commons
Limbourg brothers [Public domain], via Wikimedia Commons
■『無垢と経験の歌』ウィリアム・ブレイク著 1974年 イギリス
17-18世紀の挿絵本です。
ウィリアム・ブレイクって、おどろおどろしい絵を描く人だと思っていたので意外でした。
ウィリアム・ブレイク [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons
夢のような本。相当濃い内容でした。
中世の写本は味わいがありますね。
ボタニカルアートなどは、見たことあるような気がするけどはっきり知らない、という絵についてちゃんと知れたので良かったです。
この値段なら買って損はないと思います。おすすめです。
こちらは5年前に買った本ですが、これも内容が濃かったです。
カイ・ニールセンや、アーサー・ラッカム、エドマンド・デュラックなどの挿絵が好きな方にはおすすめです。
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